「ほら、放射能」厳しい状況共有のため…鉢呂氏読売新聞 9月10日(土)21時35分配信
辞任会見する鉢呂経産相(10日午後9時25分、経産省で)
東京電力福島第一原子力発電所周辺自治体を視察後の不適切な言動の責任をとって辞任した鉢呂経済産業相は10日夜、経産省で緊急記者会見を行い、「私の一連の発言で国民の皆様、とりわけ福島県民の皆様に多大な不信の念を抱かせ、心からおわびしたい」と謝罪した。
鉢呂経産相は、視察から帰京した8日夜、防災服の袖を取材記者にこすりつけるしぐさをし、「ほら、放射能」と発言したことについて、「(被曝の)大変厳しい状況を共有していただくためだった」と釈明した。
鉢呂氏会見詳報(1)「国民、福島県民に不信の念抱かせた」(10日夜)産経新聞 9月11日(日)1時54分配信
鉢呂吉雄経済産業相が10日夜、経産省で開いた辞任会見の詳報は以下の通り。
「遅い時間にお集まりいただき、大変ありがとうございます。本日、野田佳彦首相に会い、『経産相を辞任したい』という申し出をし、首相から受理していただいたところだ。私の一連の発言で、国民の皆さん、とりわけ福島県民の皆様に多大の不信の念を抱かせ、大変心からおわび申し上げる。大変どうもすみませんでした」
「また福島県民の皆さんや東日本大震災の(被災者の)皆さんに少しでも今後貢献できるよう、これからもひたすら頑張って参りたいと考えているところだ。大変短い期間だったが、経済産業省の皆さんの力もいただいて過ごしたことに心から御礼申し上げ、退任のごあいさつとさせていただく。本当にありがとうございました。以上だ」
−−いつどこで首相に辞表を提出したのか
「今日、首相も被災地に出張し、私も第3次補正予算の関連で円高、空洞化に今後の方向性をつけるということで、企業の訪問をしたところだ。午後7時から(東京都内の)赤坂議員宿舎でお会いし、辞任を申し出たところだ。以上だ」
−−首相からはどういう発言があったか
「首相からは、これを受理していただいたということだ」
−−首相が言ったことは何か
「特に申し上げることはない」
−−首相から声をかけられたことは何か
「受理していただいたということだ」
−−何分くらい会ったのか
「時間はわからないが、数十分だったと思う」
−−改めて、辞めた一番の理由は
「昨日、今日にかけて、福島県に視察に行った際での記者会見等での発言、一連の発言について国民の皆さん、福島県民の皆さんに大きな不信の念を抱かせた。このことに尽きるかと思う」
−−午後の視察の際は辞任という発言はなかったが、決断はいつしたのか
「首相に経過を話し、その際、決断させていただいたということだ」
−−一連の発言というが、具体的に何の発言について反省し、辞めるのか。具体的に説明してもらわないとなぜ辞めるのか分からない
「一つは、昨日の記者会見において『死の町』という表現をしたことについてだ。このことについては、午後の記者会見で、撤回をして陳謝、おわびしたところだ。また、視察後の非公式の記者の皆さんとの懇談。まあ、立った場での懇談だったわけだが、一連の大半は視察の中身について真面目で真剣な報告をしたと思うが、不信を抱かせるような言動があったという風にとらえられたわけだ。この2つだ」
−−具体的にどう言ったのか。国務大臣を辞めるんですよ。理由くらいきちんと説明しなさい
「私も、非公式の記者の皆さんとの懇談ということで、その1つ1つに定かな記憶というものがないので…」
−−定かな記憶がないことで辞めるのか。定かだから辞めるのだろう。、最後くらいきちんと説明しなさい
「そういう風に私は…。国民の皆さん、福島県民の皆さんに不信の念を抱かせたと考えておるところだ」
−−何を言って不信の念を抱かせたか説明しろって言ってんだよ
「だから、今お話した通りだ」
−−何を言ったからだ
「大変すいません。私なりに精いっぱい話しているつもりで、ご理解をいただきたいと思う」
−−改めて、なかなか理解しがたいが、会見、前夜の言動、被災地の痛みを目の当たりにした者の言動として、なぜそういう発言をしたのか。そのあたりの心境をもう一度、説明を。今回の入閣については北海道民からも強い期待を受けていたが、どんな心境か
「原子力発電所事故の形については私も福島に2回ほど入り、子供の健康、特に学校などの除染問題で、(当時の)菅直人首相にも意見具申したり、それなりの議員個人の立場だったが、やっていたと思っている。そういう中で、私は現地の事故の作業員の皆さんの働く姿、あるいはまた、その周辺の、昨日まで活発にさまざまな生活、経済活動をしている地域が、一晩のうちに避難という形になったこの町を、言葉は非常に、県民の皆さんに逆なでするような言葉だったと思っているが、私の率直な見た形を表現をさせていただいた。」
「決してそのことで何か、県民の皆さんを逆なでするというような意図はなかったと思っているが、適切な言葉ではなかった。自分として、福島の原子力発電所の事故について、また地元(北海道)に原子力発電所があるから、相当大きな政治的な形(決意)をもって臨んできただけに、不用意な発言について真剣に考えさせていただき、このような決断をした。このように受け止めていただければと思う」
「地元の期待については、本当に、痛くなるような形で受け止めておったわけで、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)の問題とか、今の円高、産業空洞化の問題、また、原子力の再稼働で地元の県民や住民の皆さんの理解を得るという大変重い責任を持つ大臣としての活動に対して率直に言って期待があったと思っているので、きちんと貫き通して解決しえなかったのは大変無念な思いだ。そういうことだ」
−−今の説明ではどうして辞任するのかよく分からない。何に対して反省をして、どうして辞めるのか
「私は自分の率直な思いを言っているつもりで、国民に判断をしていただきたい。一番大きいのは福島県民の皆さんの思いに応えるどころか、大きな不信という形だったと自分なりに思っているし、そのことは自分としては本当のこれまでかかわってきただけに、強い思いがあったことに対して、そういう一連の発言に対する裏切りというものとして私として受け止めさせていただいた」