2010年10月08日

根岸・鈴木氏、特許取得せず…栄誉の道開く一因

根岸・鈴木氏、特許取得せず…栄誉の道開く一因読売新聞 10月7日(木)12時46分配信

 今年のノーベル化学賞に決まった根岸英一・米パデュー大学特別教授(75)と鈴木章・北海道大学名誉教授(80)は、パデュー大の故ハーバート・ブラウン博士の下で学んだ同窓生だが、2人とも、受賞対象となった技術について特許を取得しなかったという点でも共通している。

 経済的なメリットは逃したかもしれないが、特許を取らなかったことで技術は世界へ広く普及し、研究者最高の栄誉へと道を開く一因にもなった。

 根岸氏は6日、受賞者発表会場のストックホルムからの電話インタビューで、クロスカップリングについては特許を取得しなかったと明かした。根岸氏は「特許を取得しなければ、我々の成果を誰でも気軽に使えるからと考え、半ば意識的にした」と述べた。 最終更新:10月7日(木)12時46分

<ノーベル化学賞>激戦のクロスカップリング なぜ2氏が?毎日新聞 10月7日(木)11時33分配信


ノーベル化学賞の受賞が決まった鈴木章・北海道大名誉教授(右)と根岸英一・米パデュー大特別教授
 ノーベル化学賞受賞が決まった鈴木章・北海道大名誉教授(80)は、吉報から一夜明けた7日午前、母校・北大での受賞記念セレモニーに出席。共同受賞の根岸英一・米パデュー大特別教授(75)は6日開いた2度目の会見で、「海外に出て外から日本を見よ」と、日本の若者の奮起を促した。

 ◇「今回は実用性重視」

 鈴木氏らは、金属のパラジウムを仲介役(触媒)に使い、異なる有機化合物を結合させる技術を開発した。「クロスカップリング」と呼ばれるこの化学反応に関する研究は日本の「お家芸」で、ノーベル賞級の研究者がひしめく。今回なぜこの2氏が選ばれたのか。

 ノーベル賞の受賞者は他薦で決まり、各賞3人までに限定される。同じテーマに2度与えられることもないため、毎回、賞を逃す研究者が出る。「クロスカップリングでいつか日本人が受賞すると思っていたが、やっている人が多すぎて『3人では収まりきらない』と言う人もいた」。薗頭(そのがしら)健吉・大阪市立大名誉教授(有機金属化学)は話す。

 最有力と目されていた一人が玉尾皓平・理化学研究所基幹研究所長(67)だ。玉尾さんは72年、熊田誠・京大名誉教授(故人)とともにクロスカップリングを世界で初めて発見。これを改良して根岸氏や鈴木氏の研究が開花した。

 玉尾さんは6日夜、「鈴木さんと根岸さんの受賞は当然」と評価しつつ「私の研究分野であるクロスカップリングが授賞対象となり、今後、私の可能性はないと思う」と語った。

 ノーベル賞は従来、人類に貢献した研究成果を選び、その中で最初の発見者を有名・無名にかかわらず発掘し授賞してきた。民間企業の一技術者だった田中耕一・島津製作所フェロー(02年化学賞)はその一例だ。「今回はオリジナリティー(独創性)より実用性が重視された」と指摘する声もある。

 推薦者の「影響力」も無視できない。鈴木氏と根岸氏はともに米パデュー大のブラウン教授(79年ノーベル化学賞受賞、故人)の門下生だった。ブラウン氏が生前「アキラとネギシをノーベル賞に推薦したい」と語った−−とのエピソードを今回、2人とも披露している。

 ノーベル賞の選考機関から推薦依頼状が届く日本人研究者は「『この人なら選んで大丈夫』と選考委員が自信を持てる人物から推薦されることが重要。(過去の受賞者という)後ろ盾があって、英語圏で活躍しているなど候補者が海外の科学コミュニティーで浸透している方が有利だ」と分析する。【須田桃子】

 ◇「海外から日本見よ」…根岸さん

 【ウエストラファイエット(インディアナ州)山科武司】受賞決定後、所属する米パデュー大での講義を終えた根岸さんは再び同大で記者会見し、「若者は海外に出よ」と呼びかけた。

 根岸さんの研究室にはかつて日本からの留学生がいたが、この数年間は訪れていない。「日本は非常にカンファタブルな(居心地の良い)国なんですよ」と日本の若者が内向き志向になる背景を推測した上で、「ある一定期間、旅行者としてではなく、海外に出て日本を外から見ることが重要。もっともっと出てこられることを勧めます」と奮起するよう求めた。

 パデュー大は1869年創立。ミシガン湖に接した米中西部の米インディアナ州にある。200以上の専攻、70以上の修士・博士課程があり、工学などでの評価が高く、大学独自の空港も所有している。卒業生に、人類初の月面歩行をしたアポロ11号のアームストロング船長ら20人以上の宇宙飛行士がいる。鈴木、根岸両氏を指導したハーバート・ブラウン博士(故人)らノーベル賞受賞者も輩出している。創立時に寄付をしたジョン・パデュー氏の名前から命名された。

 ◇「80年の人生で最もハードな一日」…鈴木さん

 鈴木さんは7日午前11時15分ごろ、札幌市北区の北大工学部正面玄関に到着。大勢の学生らに拍手と握手の嵐で迎えられ、「こんなに学生が喜んでくれて、昨日より今日の方が感激している」と、満面の笑みを浮かべて語った。

 ノーベル賞受賞を祝うセレモニーでは、工学部4年の金岩詩織さん(23)が花束を贈った。鈴木さんは「どこの学部なの」と気さくに話しかけた。鈴木さんは、深夜までテレビ出演をこなした前日を「80年の人生で一度も経験しないかなりハードな経験をした」とユーモラスに振り返り、集まった学生に「若い皆さんにがんばってよい成果をあげてほしい」とエールを送った。【田中裕之】


posted by 夢見るまま at 04:11 | Comment(0) | TrackBack(0) | ノーベル賞 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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